小学生の頃、近所の児童館で「大声コンテスト」があった。
〜音の大きさを計る機械に向かって決められた一定のラインから好きな言葉をただ思いっきり叫ぶ〜
そんなシンプルな大会。
優勝者には図書券贈呈。
コンテストスタート!
「図書券くれ〜!」「バカヤロー!」
皆思い思いに好きな言葉を叫んでいる。
私の順番が来た!子どもの私は子どもなりに考えた。1番大きな声量が出る言葉は何だろう?
私は考えた末に力の限り叫んだ。
「あ゛ぁぁぁぁぁ!!!」
言葉ではなくただ叫ぶことにした。
近所の子ども達何十人かが挑戦した中。
その時点でトップになった。
挑戦者達が残り少なくなった時。
子どもながらに私は勝利を確信した。 作戦成功!
残る挑戦者はただ一人。
しかも自分より年下の小柄な男の子。
図書券で何の漫画を買おうか考えていると、最後の挑戦者が叫んだ。
小さい身体で思いっきり息を吸って叫んだ。
・・・
「ちんこうんこちんこうんこぉぉぉぉぉ!!!」
・・・
私は準優勝のお菓子の詰め合わせを受け取った。
あんな馬鹿でかい「ちんこうんこ」は後にも先にも聞いたことが無い。